繋いだ歌【完結】
「すっげえ~。ギターだけじゃなくて、色々機材とかあるのな」
「うん。色々必要だからね」
「高そう~。これ全部買ってもらったの?」
「ううん。バイトして貯めて買った」
「え。まじかよ。これ全部?」
「うん」
「お前、凄過ぎるな」
何が凄いのか、僕にはわからなかった。
バイトをしたのは、それが理由だ。
夏休みにある短期のバイトを集中してやっていただけだ。
一日八千だとして、週五で入ればそれなりに稼げる。
毎週一日だけ休み作って、そこだけは身体を休める為に寝た。
機材は高かったから、一気に稼ぐなら夏休みぐらいしかない。
土日バイトしてはいるけど、微々たるもんだ。
高校生で、遊ぶお金が欲しいだけならいいのかもしれないけど。
「んじゃ、聞かせて」
田所は床に座ると、目をキラキラとさせ僕を見る。
はあっと息をついてから僕はパソコンを起動させると椅子に腰かけ、曲が保存されているデータを開いた。