繋いだ歌【完結】
〝月影色″つきかげいろ。
それを僕は聞かせることにした。
ピアノのイントロから始まるこの曲を僕は気に入っていた。
ボカロの合成音声の声が流れ始め、田所は真剣にパソコンの画面を見つめていた。
じっと見ていることも出来ず、僕も一緒になってパソコンの画面を見た。
曲が静かに終わり、田所の方を振り向き口を開こうとした僕はぎょっとした。
「た、どころ?」
田所の頬には、目から溢れ出た涙が伝って筋となっていた。
それを拭うこともせずに、田所は僕の曲を最後まで黙って聞いていたんだ。
「……え、あ、やっべ。感動しすぎて、ちょっと、涙が」
慌てて頬の涙を両手で拭った田所は、ははっと渇いた笑い声をあげる。
こんなに感動してくれるなんて思わなかった。
「このタイトルなんていうの?」
「月影色」
「へえ……」
そう言うと、田所は腕を組み思案しているようだった。
何かを思いついたのか、田所が口を開く。