たぶん、トクベツちがいな恋。
しばらく、つらつらと文字が連なった画面を見ていた。
今日が本当に本番なんだと改めて感じていると、再びスマホが震えた。
一件のメッセージ。開いてみると、茶々本人からのメッセージだった。俺宛てだ。
でも、それは文字でも言葉でもなく、1枚の画像。
白い小さい手のひらに、ちょこんと乗っかった、桃色の鳩の御守り。
それ以外に、何も送られてこない。その画像だけが、どどんと貼り付けられていて。きっと、それが今、茶々が俺に伝えたいことなんだということが分かる。
「…ふ」
ちゃんと、お供として持って行ってくれたのはうれしい。
あんな、茶々のためにってわざわざ買ったわけでもない、おみくじに付いてきた鳩守りを、こんな風に見せてくれるのが、嬉しかった。
「…俺に対してもなんか言えよ」
思わず、口角が上がった。たった1枚の写真に、こんなに心が躍るとは。
グループの方に送ってきてもいいのに、わざわざ俺自身のアカウントに送ってくるあたり、きっと少しだけ照れているのだ。
かわいい。素直にそう思う。1歳しか変わらないのに、ものすごく可愛いと思う。思わず、出会った時のことを思い出した。
ぎゅっと胸がしまる。それを合図に、今までの茶々の色々な顔が浮かんだ。
「…早く試験終われよ…」
独り言で溢れ出した言葉は、一瞬自分の声に聞こえなかった。思わず出てしまったんだと思う。だからこそ、そんなに会いたかったのかと自覚する。
“ 俺でいーの? ”
“ うん! ”
大きなことを乗り越えた後に、1番に俺に会いにきてくれる。もっと、会いたい人とかいるかもしれないのに。
俺と、出かけようって言ってくれた。
その言葉が、俺は嬉しかった。
さらに、会いたいという気持ちが募った。なんだか変な感じ。今日、この後会えるのに。
試験を終えた彼女が、俺の元へ来てくれることが、まだあまり、想像できなかったんだ。