たぶん、トクベツちがいな恋。

・・・

予定よりも少し早く、大学の近くの駅に着いた。

1人でいても、そわそわとして落ち着かなかったから、時間まで駅に入っている店で時間を潰そうと思う。


時間を確認するのと同時に、メッセージが入っていないかをそっと見るけど、まだまだ何も入ってこない。

まだ、試験は続いているのか。そこのとこ、ちゃんと聞いとけばよかった。


大きい駅に入っている、いくつもの店。それをなんとなく回っていると、キラキラとしたお店が目に入る。

「…うわ、茶々好きそう」

思わず、独り言。薄いピンクやら白やら黄色やら、パステルカラーのものが並んだ雑貨屋。茶々が持っているものは、全部こんな色をしている。


どんなものが売っているのかと中に入った。ちゃんとした彼女がいたことなかったから、女物が売っている店にはほとんど入ったことがない。

珠理がめごちゃんの誕生日プレゼントとか、そーいうのを買うときには行ったことがあるけど…あんまり見てなかったしな。


周りは女ばっか。春を前に、新作の生活グッズが並んでいるようだ。
食器類、洋服、キッチングッズ、アロマ、諸々。

その中でも、7色ほどの色が揃ったマグカップが目立っていた。お店の入り口に並んでいて、思わず立ち止まる。

よく見ると、花柄。持ち手の色が、パステルの赤、ピンク、黄色、水色、白、紫、オレンジと、様々。こうやって並んでいると、虹みたいだ。

ピンクのマグカップを取った。茶々らしいと思った。

これに、ココアをいれて飲んでいる姿が、容易に想像できた。


「…」


新生活応援グッズ…ね。

今まで、誰かにプレゼントなんてしたことがなかったから、少しだけ迷ったけど。


でも、頑張った茶々には何かしてあげたくて、それを持ってレジに並ぶことにした。


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