たぶん、トクベツちがいな恋。
“ 茶々に、いっていーかな ”
何を、いうんだ。そんな勇気も覚悟も、この雨に流されてしまった。
この程度で弱っている俺に、何が言えるっていうんだ。
“ 近海がいいと思うなら、いいと思う ”
珠理が、そう言ってくれたから、なんだ。結局茶々は、俺よりも珠理やウキョウくんの方が大事なんだ。
…誰が1番とか、そんなの、考えないようにしてきていた。
だけど、よく分からない気持ちが重なって、絡まって、結ばれて、もう、解けなくなっている。
「…好きだとか、言えるかよ」
自信がない。茶々も、俺のことを同じように想ってくれているという自信が。
それは昔からゼロに等しかったけど、少しだけ、変わったと思っていたんだ。
茶々が、俺が変わっていくのが嫌だと言ってくれた時から。変わらないで欲しいと、言ってくれた時から。
…少しだけは、近づけたかなって。
子どもだと思う。1回や2回、約束事がうまくいかなかったからって、こんなにへこんでしまっている。
今日これから向かってくれると言ってくれたのに、約束を破られたと思ってしまっている。
そんな自分が、ひどく幼いと思ってしまう。
雨が、またさらに強くなった。風も出てきて、頭やら顔やら服やらに、少しずつ雨粒の痕が広がっていく。
でも、不思議と寒いとは思わなくなっていた。
茶々への、黒い黒い憤りが、ふつふつと、煮立っていたからかもしれない。