たぶん、トクベツちがいな恋。


元気ないねって、言われることはよくあった。昔から。

あたしは、笑顔をつくることが苦手なんだと思う。そして、感情がすぐ顔にでる。それは自覚してる。

…なんかあったの、なんて。

「ない」って答える嘘もつけないくらい、大きなことが起こってしまった。


「…俺、ちゃっちゃんに助けられたんだよ。だから、よかったらちゃっちゃんも、俺を頼って」

「…」


右京くんを、頼る…?

でも、近海はきっとあの時、あたしが近海との約束よりも右京くんを優先してしまったから怒っていたんだ。


“ 俺がいくらお前を好きで想ってたって、お前は結局、俺のとこには来ねーじゃん ”


「……」


あの時、近海に言われた言葉を、なに1つ忘れてない。しっかり、覚えている。


…近海が、あたしを好きって言った。


分からない。友達としてかもしれない。後輩として、人として。近海が、あたしのことを嫌いじゃないことだけは知っていた。だって、今までもたくさん、たくさん助けてきてもらったから。


出会った時から、ずっと。

ずっと、近海はあたしを助けてくれていたの。



「…ちゃっちゃん…?」

「…っ」


右京くんの方を見上げる。背が高くて、きれいな顔をしていて、なんとなく、珠理に似ていると思った。

近海も人気はあったし、女の人が常に周りにはいたけど、珠理とは違う雰囲気をもってる人。



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