たぶん、トクベツちがいな恋。
・・・
「…それで、茶々に傘を渡して近海は濡れて帰ったってこと?」
あれからしばらく経って、珠理は皿にたくさんのフルーツを盛って帰ってきた。
リンゴ、キウイ、ブドウ、オレンジ、パイナップル…。女子力高すぎだ。なんだこの色とりどりの皿は。
「ねぇ近海、聞いてるの?」
「聞いてるよ。お前が持ってきた皿がキラキラしすぎてちょっと引いてんだよ」
「なにそれ〜! 嫌なら食べなくていいわよっ」
まだ少し怒っている珠理は、俺からフォークを取り上げた。だけどそれはほんの束の間で、ごめんと言うとパイナップルを刺した状態で返してくれた。
…切り方もきれい。ほんと、手先器用だよな、コイツ。
いつもの口調に戻った珠理に、俺は一昨日のことを話した。
茶々と待ち合わせをしていたけど、ウキョウくんのことがあって大遅刻されたこと。
それがどうしても許せなくて、茶々にひどいことを言ってしまったこと。
挙げ句の果てに、好きだと言い逃げしてしまったこと。
なんとなく恥ずかしかったけど、これだけ心配してくれる親友に、なにも話さないで帰すということができなかった。
淡々と話していく俺に、珠理は何も言わないでうんうんと聞いてくれていた。
パクパクとフルーツを口に運びながら。そして、たまに俺の方を見ながら。
「…ウキョウくんって子、初めて聞いたかも。茶々の周りにそんな子いたっけ」
「あぁ、えっと…。ほら、お前あの時会ってねーの? 茶々が、俺たちの大学に見学に来た時」
特徴の青い髪のことを話すと、心当たりがあったらしく「あぁ」と言っていた。