たぶん、トクベツちがいな恋。
「…もう、いーよ。早く食えよそのケーキ」
ちょっと本当に悲しくなって、顔をテーブルに埋めた。茶々の方は見れなかった。たぶん、怒ったように顔をしかめているか、少し反省した顔をしているか、どちらかだと思う。
でも、もう少し自覚すればいい。自分の言動が、俺を天国にもどん底にも連れて行くんだってこと。
「…近海。なに、怒ったの?」
ふいと顔を反対側に向けていると、茶々の困惑した声が上から降ってきた。
あぁ、どんな顔をしているか大体想像できた。怒ってない。たぶん、ちょっとだけ反省してる。
「…怒ってねー。でも、俺だって軽い気持ちであんなことしねーから、それを軽く見られるのは、ちょっとショックだっただけ」
こんなことでいじけて、馬鹿みたいだってのも分かってるんだよ。1歳しか違わないとはいえ、後輩の前ですごい情けないことも。自分でも、分かってる。
「…お前は、もっと自分のこと、ちゃんと分かった方がいいよ」
でも、止まらなかった。
「…自分のこと?」
「そう」
「…何それ、どーいうこと?」
「…」
ほらね。またそういうのも、そのままストレートに聞いちゃう。なんで分かんねーんだよ、気づけよ。
ぐるんと首を180度回転させて、茶々の方を向いた。まだ少し恥ずかしいから、腕の中に顔は埋めたまま。
目線を茶々の方に向けると、彼女はやっぱり、反省を込めた困惑した顔をしていた。