たぶん、トクベツちがいな恋。
俺の顔を覗き込むようにして見るその顔は、やっぱり、綺麗だ。あの日一瞬で、彼女に心臓を鷲掴みされたことも、納得できる。
「お前が可愛いってことだよ。だからお前こそ冗談でもそんなこと軽々しく言うな」
「…!」
かすかに指で触れたその頰が、一瞬で桜色に変わった。くちびると同じ色。
「…な!何を言ってんの…!?」
「別に、本当のことじゃん。その辺の男にそんなこと言ってみ。一瞬でオチるよ」
「そんなわけないでしょう!?」
慌てている。頰に触れていた手も、いつの間にか叩き落とされていた。でも、その代わり可愛い表情が見れたから、おあいこってことでいっかな。
「そんなわけあるよ。お前、俺たちがいなくなってガードも緩いから、他の男をホイホイ転がしてんじゃねーだろうな」
「そんなことするわけないじゃない!ばっかじゃないの!近海じゃあるまいし!」
「…ふーん」
まぁ、いいか。この様子じゃ本当なんだろうな。茶々に想いを馳せるやつはいっぱいいるんだろうけど。俺みたいに。
「お前、さっきみたいなこと、俺以外にやってたらすぐやめろよ。嫌だから」
「は?するわけないじゃん。つーか、あんたが嫌かどうかなんて関係ないんですけど」
「関係ある。俺の気持ち無視してんじゃねーよ」
「あんたの気持ちなんて知らないわよ!それに、近海だって…!」
次々と文句を生み出していたくちびるが、止まった。
一瞬茶々の表情も止まったけど、彼女はそのまま俺から顔を逸らした。
…? なんだろう。何を思った?今。