たぶん、トクベツちがいな恋。


「男をホイホイ転がすなんてこと、茶々はしないもん。でも、近海だって同じでしょ。さっきみたいなことしてたら、女の子はみんなびっくりすると思う」

「…!」

「近海はそうやって、昔から、そうやって………」


ゴニョゴニョと、また言葉を重ねていく。不満ばっかり。でも、なんだか、急にその言葉が持つ意味も、少しずつ俺の胸を締め付けていって。


「…茶々、こっち向け」

「…!」


そのサラサラの髪を通り抜けて、その奥の温かい肌に触れる。手のひらで少し乱暴に顔を掴むと、茶々のきれいな顔がコッチを向いた。

頰がくちびるの周りに寄って、タコみたいな顔をしている。


「ちょっ…」


困った顔。すごく、嫌そうな顔。でも、それでも可愛い顔。

その顔を眺めて、少し満足したら、そのまま後頭部に手を添えた。そのまま引き寄せて、自分の額に茶々の額をぶつける。

茶々の匂いが濃くなった。少し強引で大胆なことをしているのは分かっていた。でも、普段通り伝えたんじゃ、今回は伝わらないと思った。


「…俺は、お前以外の女を転がしたりなんかしねーよ」

「…!」


もう、気持ちが伝わってしまおうが、何かが変わってしまおうが、なんでもいいや。

それよりも、そんな風に思わせている方が、俺はいやだ。


「確かに俺は女遊び激しかった時期はあったし、お前にも軽いやつって映ってたのかもしれない。でも、それももうずっと昔にやめたんだよ」

「…、」

「さっきも、お前だから食ったの。お前がやるっつってんだから、食べるに決まってんじゃん。うれしいからだよ」

「…うれしい…?」

「そう」


だんだんと、込み上げてくる熱。自分の気持ちを少し正直に言うだけで、こんなにも恥ずかしくなるってこと、俺は知らなかった。

今まで、どれだけ素直じゃない態度をとってきたのだろうと、反省する。


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