たぶん、トクベツちがいな恋。


『…昨日、瀬名が近海の写真、送ってきた』

しばらく黙っていた茶々が、口を開いた。

「俺の写真?」

『バイト中の』


…あー。昨日居酒屋に来ていた時に撮っていたやつか。そういえば確かに、グループの中に貼られてたことを思い出す。あんまり茶々には見られたくなかったんだけど。


『バイトって、楽しいの?』

「え?」

…バイト?

「…いや。まぁ仕事だからね。楽しいっちゃ楽しいけど、忙しいよ」

『友達もいるの?』

と、ともだち…。バイトの人たちのことを、友達と言うのかどうか。

「バイト仲間ならいるよ?同じ大学の子たちが多いけどね」

『…ふーん』

「あ、ほら。俺のアカウントのさ、後ろに映ってる奴ら、バイト仲間だよ」


…って、何を紹介してんだ、俺は。茶々にこんなこと言ったからって、何になるわけでもないのに。
きっと、また変わったとか、言われるだけなのに。

でも、茶々から知りたいと思ってくれているというのは、嬉しかった。こんなこと、今までなかったから。


『…ふーん。女の人の髪色すごい。トーキョーの女って感じ。キラキラしてる』

「ぶふっ…」

茶々の物言いに、思いっきり吹き出してしまった。なんだ、“ トーキョーの女 ” って。当たり前のように垢抜けているところは確かにあるから、分からないでもないけどさ。


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