たぶん、トクベツちがいな恋。

・・・


クリスマスも通り過ぎて、大学生になって初めての年末。

珠理と鎌倉に帰ってきた俺は、12月30日の夜、初詣に誘われた。

コタツの中に入ってスマホを耳に当てると、珠理の声がそこにはあって。


『大晦日の夜に集まって、みんなで鶴岡八幡宮に行かない!?』


いつものようにテンション高めの珠理。そして、それに対してやや低めの俺。


「えー…。鶴岡八幡宮に行くの? ぜってー人多いじゃん」


鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)は、鎌倉の中でも特に有名な神社。毎日のように大勢の観光客で賑わっているところだ。もちろん地元民だって行く。

だから、元旦にはものすごい数の人たちがやってくると推測される。非常にめんどくさい。心底めんどくさい。

しかも行くのが夜って、気温は何度なんだよ…。


「絶対寒いじゃん」

『そうだけどぉ〜。せっかくみんなで集まれるんだし、行きたいじゃない?行きましょうよ〜!オーミがいないと、アタシつまんないっ!』


…なーにが、つまんないっ!だ。

どうせめごちゃんとイチャイチャするくせに。調子のいいやつ。


『それからねぇ、茶々の予定をまだ聞けてないのよ〜。あの子高校生だし、許しが出るか分からないんだけど、近海聞いてみてくれない?』

「…なんで俺」


明らかに、ニヤニヤした声。絶対、スマホの向こう側で笑ってるな。面白がりやがって。


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