たぶん、トクベツちがいな恋。


『だってぇ、近海だって茶々がいたら嬉しいでしょう?だから、ね。お願い!』

「ほんと調子いいな、お前は」


珠理の誤魔化すような笑い声が返ってきて、一旦その電話は切れた。
どうしようか迷ったけど、とりあえず聞いてみてくれと言われたので、そのまま茶々の電話番号を探す。


…今日は、塾かな。だとしたら電話しても邪魔なだけだろうか。

でも、きっとマナーモードにはしてると思うし、着信だけ残しておこう。時間ができたら、かけ直してもらえるように。


再び耳に当てた。コール音が鳴り響いて、何度も何度もその音を重ねる。

なかなか出ない。やっぱり、勉強中かな。追い込みの時期だしな。

「…」

あとでまたかければいいと、電話を切ろうと耳から話した時、それを遮るように声が聞こえた。


『は、はい!もしもし!』


…少し、急いでる声だ。というか、電話、出た。


「おー、茶々。近海だけど」

『うん、分かってる。どうしたの?』


いつも通り。この間みたいに、他の音も聞こえない。1人でいるのだろうか。


「ごめん、勉強中だった? 忙しかったらまた後にするけど」

『あー、いや。自習室来てたけど、全然大丈夫。自習だし』

「あ、そう…」


自習室。ということは、やっぱり今日も塾に行っているのか。こんな年末まで、ご苦労様だ。


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