たぶん、トクベツちがいな恋。


「知ってるよ。この間の電話の時でしょ。覚えてるし」


茶々のことを、“ ちゃっちゃん ” と呼んでいた。声しか聞いたことないけれど、他の男とは違って、きっと茶々もそいつに気を許している。それは少しだけ、感じた。


「…そいつも行くの?」

「うん。というか、右京くんが言い出したんだし。合格祈願も込めて、行こうって」

「ふーん」


まぁ、仲がいい子ができるのはいいことだし。別に全然残念じゃないけど、なんだろう。

…この、何か心に引っかかっている感じ。ムズムズする感じ。

茶々が、そのウキョウって奴に懐いている気がするから、それが気に入らないのか。


「まぁ、楽しんできなさいよ」

「うん。でも年末一度くらいはめごたちにも会いたいし。また近くに来ることあったら教えてよ」

「おー」


なんだか、いつもよりも手応えがない感じで電話は終わった。なんだろう、この敗北感。茶々が俺たちの輪に入らないってことが、あまりなかったからか。

やっぱり、茶々がウキョウくんとか初ちゃんたちとの世界にいることが、気に入らないのか。よく分からないけど。


「…あー、もしもし。珠理?」


でも、茶々だって変わっていく。俺たちが、変わったというように。


「ごめん、茶々に聞いたけど、やっぱダメだって。別のやつらと行くって。うん。じゃあ俺らは明日な。はーい」



…せっかくの、年末。時間とか何も考えずにゆっくりできるのだから、こういう時こそ、茶々とゆっくり話したいと思う。

相手が受験生だと言うのに、大変な思いをしているというのに、こんなことを考えてしまう俺は、先輩としても、男としても、残念なやつだと思った。


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