たぶん、トクベツちがいな恋。
珠理がドン底にいる時に、救ってくれたのがめごちゃんだった。
全く別の中学に通っている女の子だったけれど、珠理はあることをきっかけに一目惚れしたらしい。
それから、ずっと珠理はめごちゃんだけを見つめて。苦しい想いをしながらも、ちゃんとその片想いを実らせた。
苦しんでいた珠理を、救ってくれたもう1つの手。そんな存在に、茶々が勝てるわけがないのは分かってた。
…珠理が、茶々のことを好きだった時期がないことは分かってる。
だから、珠理が今、俺と茶々のことを本気で応援してくれているのだって分かっている。
それは、素直に嬉しい。心から感謝できる。でも、なんだろう。
うまく言葉にはできないけれど、きっと俺は、茶々の心の奥底に住み着いている、珠理の存在に勝てない気がしているんだ。
…もう、長いこと、ずっと。
『右京くん、珠理に似てるの』
そう言われた時、凍りつくかと思った。結局珠理かって、がっかりした。
ウキョウくんに対しての嫉妬はもちろんだけど、きっとその一言に縛られていたことも大きな理由だと思う。
珠理に似ているから、懐いたのか。
珠理に似ているから、これから好きになるのか。
…そう思うと、俺が好きでいたこれまでの5年間はなんだったんだと思ってしまった。
情けない。女々しい。
そんな風に思うのに、どうも拭いきれない。
いつになったら吹っ切れるのかと、自分らしく茶々と向き合えるのかと、きっと今までも無意識に考えてきたのだろうけど。
それでもやっぱり、きっと、彼女が俺に振り向くまで、美濃珠理という大切な特別な存在に、悩まされていくのだと思う。