たぶん、トクベツちがいな恋。
・・・
珠理の夢を見た日の昼、いつものように学食で飯を食べた。
今日は4限が終わってそのまま食堂に流れ着いたから、珠理じゃなくて、同じ学部の奴らと。
大学に入ってなんとなく仲良くなった直矢(なおや)と泰助(たいすけ)は、珠理のことも知っている。
それこそ、前に一緒にお昼を食べたとか、そんなことがキッカケだったように思う。
「はぁ? 後輩と喧嘩したァ?」
醤油ラーメンに箸の先を付けた直矢が、半笑いで声をあげる。
俺が朝から不機嫌なことに気づいて、どうしたんだと聞いてきたから、素直に話した。
「後輩って高校の?なんでまた?」
それに、あまり周りに関心がない泰助も加わってくる。
「知らねぇ。昨日うちの大学に見学に来てて、そこでちょっとモメた」
「うちの学校に来てなんでモメることになんだよ、わけワカンネェ」
カレーのルウに、スプーンを潜り込ませる。わけワカンネェのはこっちだ。何でもないって言ってんのに、自分のことは差し置いて怒るんだから。
昔からそうだ。突然不機嫌になる。
「お前がなんか無神経なこと言ったんじゃねーの?つーか後輩って男?それとも」
「女」
「ウッワ〜〜!出たよ!!これだからイケメンくんは!」
それは絶対お前がなんかしたパターンだわ。と、直矢に付け足された。
俺が何かした?俺がっていうか、紀伊さんが言ったことがまずかったんじゃないのかよ。
さらに冷やかしも加わってきて、考えるのもめんどくさい。
「わざわざ大学に来てくれたコなんだろ?しかも、お前が怒るってことは、すごい仲良しなコなんじゃないのかよ」
「…なんで?」
合ってる。エスパーか。
「だって、お前どーでもいいことには怒ったり文句いったりしねーじゃん。こんな荒ぶってんのなかなか見ないから、そうなんじゃやいかって」
ビシ!と、人差し指を鼻先に向けられた。得意げに笑っている直矢。その隣で、泰助もウンウンとうなずいている。