たぶん、トクベツちがいな恋。
なんでこうも、俺の周りは変に勘のいい奴らばっかりなんだろうか。
コイツらのような鋭さが、茶々にもいくらかあれば…。
「しかもそんな仲良しなコとモメるなんてさあ、絶対色恋沙汰じゃん。なに?変な虫が付いてた?」
「…っ!」
飲んでいた水が、間違えて気道の方に入っていく感覚がした。思わずコップを置くと、ゲホゲホと咳き込んでしまう。
“ 変な虫 ” そのワードがピタリすぎて、直矢はやっぱりエスパーか何かなんかじゃないかと思ってしまった。
「…こりゃ、図星だな」
「まじか近海〜〜!どうりでそんな苛ついてるわけだぁ。お前も雄だな。競争心丸出し」
「っ、はあ!?」
まだムズムズする気道を抑えながら、2人に抗議をする。「何か間違いがあるなら訂正しなよ」と言われたけど、特に訂正するところはないし、むしろドンピシャな推理だったから黙った。
クソ、言い返せない。恥ずかしい。そんなところまで言い当てられるなんて予想しなかった。言わなきゃよかった。
「どうせあれだべ? その子に変な虫がついてて、それにお前がイライラしてたんじゃねーの?」
「………別に」
半分は当たってる。ウキョウくんと仲良くなって、変に触らせていることを怒ったのは確かだ。でも、それだけじゃ——。
「まぁ、女の子にも色々あったのかもしんねーけどさあ。歳上で男のお前が変に意地張っててどうすんだよ。そこはお前が積極的にダメージ受けてやればよくね?」
「…ダメージ…?」
「そっ。情けねーとこ隠したくなるのも分かるけどさ、いつまでもお前がブスブスしてっと、相手の子もかわいそうだって。お前女の扱い慣れてそうだし、そーいう奴が折れてやればいいんだよ。特にデリケートな問題はな」
「…」
…誰が、女に慣れてるって。絶対直矢の方が慣れていると思うのは俺だけだろうか。