たぶん、トクベツちがいな恋。


デリケートな問題。色恋沙汰はみんなそういう問題に当てはまるのか。
俺は恋愛に関してそんな風に考えたことはなかったから、やっぱり直矢の方がいくらか上手なんだろう。

…俺が、ごめんって言えば済む話なのか。

怒らせてごめんって。名前を呼んでくれたのに、変な意地で振り返らなくてごめんって。そうすれば、茶々も納得してくれるのだろうか。


つーか、あいつは今回何に怒ったんだ。俺が紀伊さんと付き合ってると誤解したから?また、俺のいい加減なところが見え隠れして、それに腹が立った?

…だとしたら、茶々だってちょっとは、俺のことを見てくれているって、思ってもいいのだろうか。


「…はぁ。それはねーな」


ため息が出る。


「あ?何がないって?」

「…いや。こっちの話」


よく分からなくなってきた。茶々のことは、いつか振り向かせたいってずっと想ってきたけど。

あいつが、俺のことを見てくれるなんて、俺にとっては奇跡で。そんなこと、起こるなんて夢にも思わない。思えない。


「まぁ、何はともあれ、ちゃんと仲直りしてやれよ。お前が荒ぶってるの見てるとヒヤヒヤするわ。あたるのは美濃だけにしてくれ〜」

「なんでそこで珠理が出てくんだよ」


ハァ〜とため息をつく直矢に、隣で静かにうなずいている泰助。俺と珠理の仲も知っている2人。最初は珠理と恋人同士なんじゃないかって疑われたくらいだ。

< 93 / 166 >

この作品をシェア

pagetop