たぶん、トクベツちがいな恋。
デリケートな問題。色恋沙汰はみんなそういう問題に当てはまるのか。
俺は恋愛に関してそんな風に考えたことはなかったから、やっぱり直矢の方がいくらか上手なんだろう。
…俺が、ごめんって言えば済む話なのか。
怒らせてごめんって。名前を呼んでくれたのに、変な意地で振り返らなくてごめんって。そうすれば、茶々も納得してくれるのだろうか。
つーか、あいつは今回何に怒ったんだ。俺が紀伊さんと付き合ってると誤解したから?また、俺のいい加減なところが見え隠れして、それに腹が立った?
…だとしたら、茶々だってちょっとは、俺のことを見てくれているって、思ってもいいのだろうか。
「…はぁ。それはねーな」
ため息が出る。
「あ?何がないって?」
「…いや。こっちの話」
よく分からなくなってきた。茶々のことは、いつか振り向かせたいってずっと想ってきたけど。
あいつが、俺のことを見てくれるなんて、俺にとっては奇跡で。そんなこと、起こるなんて夢にも思わない。思えない。
「まぁ、何はともあれ、ちゃんと仲直りしてやれよ。お前が荒ぶってるの見てるとヒヤヒヤするわ。あたるのは美濃だけにしてくれ〜」
「なんでそこで珠理が出てくんだよ」
ハァ〜とため息をつく直矢に、隣で静かにうなずいている泰助。俺と珠理の仲も知っている2人。最初は珠理と恋人同士なんじゃないかって疑われたくらいだ。