たぶん、トクベツちがいな恋。
『近海あのね、』
「うん?」
茶々の声が、いつもの調子に戻った。少しだけ明るい。ほんの少しの変化にさえも、敏感に反応する俺の耳。
『…採点の件、まだ言ってなかったなあって。ちゃんと目標のライン超えて、近海と同じ大学を受験できそう…』
“ です ” と、彼女は最後にそう付け足した。茶々にしてはかしこまった言い方に、思わず目が開いた。
「っし、まじか!やったな!」
もう早速願書を書いて応募するとか、そういう話を始めた。とりあえず、受験することは決まったんだ。しかも、安泰。あとは二次試験を乗り切れば、晴れて高校を卒業できるようだ。
それから茶々は、少しだけ言いにくそうに、初ちゃんとウキョウくんも受けることが決まったということを報告してきた。
3人で仲良く、合格を目指すらしい。
「あと少しだな。頑張れよ。終わったらどっか遊び行こーぜ」
『エッ、本当!?茶々、1回行ってみたいカフェがあるの!』
「…」
『近海、二次試験終わったら一緒に行ってくれる…!?』
…珠理とか、めごちゃん瀬名ちゃんも含めて、遊び行こうってつもりで、言ったんだけど。
どうやら、茶々には違う意味で伝わっていたようで。
「……俺と?」
思わず、聞き返してしまう。
2人でお出かけってことで捉えられるとは、思ってもみなかった。
『うん。K大の近くにね、あるんだ。すっごい美味しそうなチョコレートカフェ!』
…チョコレートカフェ。心当たりはある。あそこの店のことかなって。
「…初ちゃんとかと行かなくていーの?俺で」
『初は、お母さんが迎えにくるって言ってたの。だからきっと時間的に無理』
「…ふーん」
…まぁ、茶々がいいなら、いくらでも付き合ってやるけど。