最低だとわかっていても…
「美桜ちゃん久しぶりだね。学校頑張ってる?」

慧さんだ。

「はい」

「早く美桜ちゃんと結婚したいな。そうだ学生結婚とかどう?
実習始まる前に式あげちゃおうか」

話が見えない。
何で急に慧さんまで結婚に賛成なんだろうか。
昔は嫌がっていたのに。

「慧さんて私のこと嫌いじゃないんですか?」

「それ本気で言ってる?好きだから意地悪してたんだよ。でも付き合ってる人いるんでしょ?渡さないよ?悪いけど立場を利用させてもらう」


そう。うちは小さな産婦人科。
一方慧さんの実家は大きな総合病院。
結婚すればうちは安泰なのだ。
いわゆる政略結婚ってやつだ。

「よし、そうと決まれば親父に連絡だな」

慧さんは上機嫌で慧さんのお父さんに連絡している。
ダメだ…もう逃げられない。
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