和泉くんの考えてることはわからない。
「和泉くんは嬉しくないの!?」
「俺はそれよりも、花宮さんが気になってたから」
「へっ?」
「だって、全試合馬鹿でかい声で応援してたくせに、決勝では一切聞こえなかったし」
そんなことを言い始めた和泉くんの視線は、もう目の前まで来た保健室のドアだけを見つめていて。
「花宮さんが無事でよかった」
倒れてるのを見つけた時正直焦った、と。
和泉くんは一切私の方を向いてはくれなかったけど、そう言ってくれた。
そのまま私は保健室のベッドで横になって、和泉くんは退出。
だから。
「……何してんだ、俺」
保健室の外で、和泉くんがそう言って口を覆っていたことになんて、私は気付くはずもなかった。