和泉くんの考えてることはわからない。
「───…だから、この因数が共通だから括り出して、残ったこれを因数分解すれば、」
「…あっ、こういうこと?」
「うん、違う」
私は、何とか和泉くんに勉強を教えてもらうことになった。
けど、和泉くんが思いの外スパルタで。
「花宮さん、本当どうやって入学したの?これまだ初歩なんだけど」
「う…、ごめんなさい」
私の出来の悪さに、和泉くんをイライラさせてしまっていた。
「栞里、数学は特にダメだもんね〜」
「だってー…」
正面に座る早苗は、かれこれずっと楽しそうに笑っている。