和泉くんの考えてることはわからない。
そしてそのまま顔を近付けられるものだから、私たちの距離は10センチ程までに近付いていた。
「い、いじゅみくん…」
「何?」
「近いれふ…」
ちゃんと喋ろうにも、こんなに顔を潰されちゃまともに言葉も発せない。
和泉くんの目の前でこんな不細工な顔を晒しているというのに、そんなことも気にすることができない程私は和泉くんの目に吸い込まれそうだった。
「……花宮さんさぁ」
ポツリ、と、和泉くんの息がかかる。
そのことに無駄に緊張感が走っていて、この距離なのに私は目の前の彼から視線を反らすことすらできない。