和泉くんの考えてることはわからない。
それから更にグイッと顔を近づけられて。
「なら、男が隣にいるときは素直に送ってもらえばいいでしょ?」
────その距離僅か、1センチ。
「女なんだから、それくらい自覚しなよ」
「……っ、」
和泉くんはそう吐き捨てると、スッとその手を離した。
「行くよ」だなんて言って、さっさと先を歩き出してしまう。
……なんだ、今のは。
また和泉くんの気まぐれにやられてしまったんだろうか。
でも嬉しくてにやけてしまう頬は、どうしようもなかった。