和泉くんの考えてることはわからない。
正直、すごく助かったのは本当だから。
「本当優しいね、和泉くん」
「……別に。倒れられたら困ると思っただけだから」
やっぱり和泉くんは私の大好きな王子様だ。
なんだなんだで心配してくれているのは、和泉くんが優しいから以外の何物でもないと思うし。
「花宮さん、」
「ん、何?」
和泉くんが、私を呼んだ。
けれどその視線はさっきとは違って私を見てはいなくて。
「…それ、熱中症じゃないなら着て」
「へ?」
こっちは見ていないものの、和泉くんはそう言ってさっきまで私が着ていたカーディガンを指す。