和泉くんの考えてることはわからない。
◇ 和泉くんの幼馴染
「栞里ちゃん。栞里ちゃんってばー!」
「……へ?あ、何?」
名前を呼ばれて、ハッとした。
目の前には、プーっと頬を膨らませて見つめてくる慎くんがいる。
「もう、僕の話聞いてた?」
「あー…、うん?」
「それ絶対聞いてない!」
拗ねてしまった慎くんに、ごめんねと謝りながら頭を撫でる。
あのダブルデートの日以来、私は和泉くんとあの幼馴染のことがずっと忘れられないでいた。