和泉くんの考えてることはわからない。
きっと和泉くんは、こう呼べば私が来ることを分かってやっている。
今までだってそうだったんだ。それくらい、私だって学習する。
「栞里、おいで?」
「っ、」
あーもう。
それが分かっていても誘惑に負けてしまう私は、一体何なんだろう。
「ごめん、慎くん。先に帰ってて」
「えっ、栞里ちゃん…!?」
もうダメだった。
あの幼馴染のことでモヤモヤしてるくせに。
それでも、和泉くんが呼んでくれたら私は迷いなく彼を選んでしまう。