和泉くんの考えてることはわからない。
慌てて追いかけるのはいいけど、さっきの和泉くんのセリフがグルグルと脳内を巡る。
『俺が送って、栞里は大人しく送られる』
い、和泉くんが、"栞里" って…。
私のことを、"栞里" って…。
「い、和泉くん!」
「…何」
それがあまりにも信じられなくて、嬉しくて。
私は和泉くんの名前を呼びながら、歩くスピードを上げて彼の隣へと並んだ。
「もう一回私のこと呼んで!」
背の高い和泉くんを見上げてもう一度お願いすれば、一瞬だけ見下ろした和泉くんの視線が交わって。