和泉くんの考えてることはわからない。
◇ 和泉くんと慎くん
「……で、傘がないことも言えずに濡れて帰ったわけね」
「………はい、完全にやらかしました」
「全く…。バカは風邪引かないっていうけど、この風邪はバカしか引かないわ」
「その言葉グサリときます、早苗さん」
次の日の朝のこと。
マスク装着で登校した私を見て、早苗が問いただして来たことからわたしの一日が始まった。
風邪なんて滅多に引かないから早苗には不審に思われたし、慎くんにも凄く心配されてしまった。
幸いなことに、まだ和泉くんは学校に来ていない。
「和泉も和泉よ。何なのあいつ。優しさがめちゃくちゃじゃない」
早苗のその言葉に、妙に同意してしまう自分もいて。