和泉くんの考えてることはわからない。
『じゃあ明日付き合って?』
『あぁ、明日なら』
………電話の相手は、大体想像がつく。
「栞里ちゃん、僕達も帰ろ?………栞里ちゃん?」
「…へっ?あ、うん!」
「………」
慎くんの声でハッとして、ベッド脇に置いてあった自分の鞄を手に取った。
保健室の先生にもお礼を言って、慎くんに支えられながら保健室を出る。
眠ったとはいえ、体はふらふら。
そんな私の腕を掴んで支えてくれる慎くんに「大きくなったなぁ」なんて弟の成長を感じていた。
それでも頭によぎる和泉くんの事は、気にしないふりをして。