和泉くんの考えてることはわからない。
…………そして唇の熱が離れたのは、その僅か数秒後。
「俺、栞里しか見てないんだけど」
「な、な、な…っ」
「信じられないならもう一回やる?今度はマスク外して。…ちゃんと」
至近距離でまっすぐに見つめてくる和泉くんが、何を言ってるのか理解できるのに理解できない。
今の………何?
マスクの上からだったけど、確かに今…っ。
「一回しか言わないからな」
「っ、」
耳元に、和泉くんの吐息がかかる。
「……─────」
それは、さっき見た夢の中の言葉と確かに同じもので。