和泉くんの考えてることはわからない。



でも。



「今日の放課後、どっか寄ってく?」

「えっ、いいのっ!?」


和泉くんがそうやって誘ってくれるから、そんな不安も吹き飛んだ。



和泉くんとお出かけができる。


それだけで、私は幸せでいっぱいだ。



「とりあえず、前向いたら?花宮さん」

「え、前?」


浮かれている私に投げかけられた和泉の言葉で、後ろに向けていた体を前に戻す。



あれ、これデジャヴな気が……。



「はーなーみーや〜?」

「あ、あはは。先生おはようございまーす……」

「ったく、お前はいつになったら成長するんだ!?」



いつのまにかチャイムが鳴って教卓に立っていた津田先生に、いつものごとくお叱りを受けるのだった。



< 260 / 326 >

この作品をシェア

pagetop