和泉くんの考えてることはわからない。
***
「和泉くんっ、帰ろー」
「ん」
やっと長い1日が終わって、待ちに待った放課後。
和泉くんのあの一瞬の不機嫌も今はすっかりなくなっていて、ウキウキと目を輝かせているであろう私にフッと笑って頭を撫でた。
「喜びすぎ、花宮さん」
「っ、だって…!」
そんなことを言われたって、嬉しいものは嬉しいんだから仕方ない。
あの和泉くんとこうして放課後デートができるだなんて、私は幸せでいっぱいなのだ。
「あ」
玄関を出て、私は見知った人物の後ろ姿を見つけた。
私のことを、すごく大事に思ってくれている人。
もちろん私だって、すごくすごく大事に思っている人。