和泉くんの考えてることはわからない。



「慎くん!」


その名前を呼べば、その人物はゆっくりと私たちの方を振り返った。



いつもなら、笑顔を向けて駆け寄って来る。


それなのに今日は違って、慎くんは私たちを見た瞬間「うわ」と顔をしかめた。




「やっぱりそうなるよね。僕部屋出て行かなきゃよかった」


そして次に口にしたのは、そんなセリフ。



それは明らかに、あの時のことを言っていて。


「栞里ちゃん、いいの?そんな男で。僕の方が栞里ちゃんのことわかってるのに」



ムスッとして和泉くんを睨みつける慎くんは、本当に私の良き理解者であり、大切な存在。


< 265 / 326 >

この作品をシェア

pagetop