和泉くんの考えてることはわからない。



「おい、離れろって」


しかし、そんな時間も僅か数秒の出来事。


すかさず和泉くんが仲裁に入って、私と慎くんの距離はグーっと引き離される。



「お前のそのぶりっ子、なんとかした方がいいよ」

「はぁ?あんたには関係ないでしょ」

「関係あるね。自分の彼女に引っ付かれるとか普通に無理だから」



そして始まった、2人の言い合い。


なんとなく聞きながら、和泉くんの口から "彼女" という言葉が出て来たことににやけてしまった。



「あー、うっざ。言ってろよ。栞里ちゃんのファーストキスもらったの僕だから」

「な…っ、ちょ、慎くん!?」


けれど、慎くんの口からその話が出てきた時にはにやけてる場合ではない。



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