和泉くんの考えてることはわからない。


そ、そうだ。


私、慎くんにファーストキスを……。



思い出しただけで真っ青になって、慌てて慎くんの口を塞いで恐る恐る和泉くんの表情を窺う。



「……だから?」

「え」


不機嫌になるのではないかと不安になっていたのに、和泉くんの表情は興味がなさそうに冷めていた。



胸が少しちくっとしたのは、ヤキモチを妬いてくれるかなぁ、なんて期待をしてしまっていたから。


……あぁ、そっか。そうだよね。



いくら今付き合っていても、その前に私が誰とキスをしていようと和泉くんには関係がないんだ。



少ししょんぼりしてしまった私は、ずっと塞いでいた慎くんの口を離す。


< 268 / 326 >

この作品をシェア

pagetop