和泉くんの考えてることはわからない。
ただ、1つだけ。
「栞里の初めてのキスの相手は、俺だから。それだけ覚えておけばいいよ」
私の記憶にないファーストキスの相手が大好きな人だったという事実だけは、私の胸に刻まれたのだった。
「別に、これからたくさんしてあげるからいいでしょ。なんなら、今もう一回」
「い、いいい今!?」
「栞里がしたくないって言うなら、やらないけど」
「〜〜っ」
意地悪。意地悪だ。
このままじゃ林檎になってしまいそうなくらい真っ赤な私を、和泉くんはさらに追い詰める。