和泉くんの考えてることはわからない。
「和泉くん。ねぇ和泉くんってば」
「本当しつこい、花宮さん」
どれだけせがんだところで、和泉くんは頑なに私の名前を呼ぼうとはしてくれないんだ。
ダメだ。和泉くん頑固すぎだよ。
ジーッと見つめてみても、和泉くんは見事にスルーしてさっさと校内へと入っていってしまう。
「あ、あれ!和泉先輩だよっ!」
「今日もカッコいい〜」
玄関先で後輩たちにまでチヤホヤされる和泉くんを見て、何だか凄くモヤモヤしてしまった。
そりゃ、和泉くんがカッコいいのなんて分かってるし、騒ぎたくなるのも分かるけど。