和泉くんの考えてることはわからない。



恐怖が押し寄せて、震えているのが自分でも分かった。



「お婆ちゃんは!?今どこ!?」

『落ち着きなさい、シオ。大丈夫だから』

「大丈夫じゃない!お婆ちゃんまでいなくなったら…っ、私…!」

『落ち着くんだ。シオ、そこに蒼くんはいるかい?代わってくれ』




なんで蒼くんとお爺ちゃんが、なんて思ったけど今はそんなことすら考える余裕がない。


ただただお爺ちゃんに言われた通りにスマホを蒼くんに渡し、蒼くんが話しているのを視界になんとか捉えていた。



「栞里、行こう。病院の場所聞いたから」

「……うん」


事情を把握したらしい蒼くんが、動物園を出てタクシーを捕まえる。



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