和泉くんの考えてることはわからない。
パパとママと、それと私。
3人でお出かけに行った帰り道だった。
歩いて出かけて、帰りに雨が降ったからタクシーに乗っていたんだ。
大好きなパパとママが私の両隣に座っていて、雨だったけれど楽しかったのを覚えている。
─────キキーッ
突然、交差点で目の前を大きなトラックが横切ってきた。
当然タクシーの運転手さんは急ブレーキをかけたけど、間に合わず。
あっという間に視界は真っ暗になって、気付いたら知らない人が潰れたタクシーの中から私を外へと出してくれていた。
「……でも、一緒に外に救助されたパパとママの目はもうその時には開いてなかった」
「………」
「運転手さんも一緒。助かったのは私だけで、3人とも血まみれで……」
「栞里、もういいよ」
蒼くんのもう片方の手が、私の頭をそっと撫でる。