和泉くんの考えてることはわからない。
***
「栞里ちゃん!」
「慎くん…」
病院に着いて、お婆ちゃんがいるという病室に案内されると、そこにはベッドに座っているお婆ちゃんと、その横にお爺ちゃんと慎くんの姿があった。
「お婆ちゃん…っ」
「ごめんね、シオちゃん。不安にさせたね」
ニコリと困ったように笑うお婆ちゃんだけれど、見た限りどこも包帯のあとは見当たらない。
「乗ってたタクシーの目の前に子供が飛び出してきて、それを避けようと急ブレーキをかけたら近くのガードレールに突っ込んだって」
事情を知っているらしい慎くんが、その時の状況を教えてくれる。
「でも運転手もお婆ちゃんも無事。歳のこともあるから今晩だけ検査入院ってだけだから。大丈夫だよ、栞里ちゃん」
「よかった。よかった〜…」
思わず涙が出てきてしまって、それを見たお婆ちゃんが「ごめんね」と謝る。