和泉くんの考えてることはわからない。
「約束のアイス、色々してるうちに溶けちゃってね」
「ううん、いいの。お婆ちゃんが無事ならそれでいい」
「心配かけたね、シオちゃん。慎くん。……それに、蒼くんも」
病室のドアの近くに立っていた蒼くんに、お婆ちゃんは目を向ける。
「いえ、本当に無事でよかったです」
「蒼くんがシオちゃんのそばにいてくれて本当によかった」
安心したように笑うお婆ちゃんは、きっとパパとママのことで私が取り乱したこともわかった上で言っている。
本当に、本当に、蒼くんがそばにいてくれてよかった。
「…まぁ、今回だけは栞里ちゃんのそばに和泉センパイがいてくれてよかったかな」
「慎くんたら、素直じゃないんだから」
病室内の穏やかな空気に、一気に落ち着きを取り戻す。