和泉くんの考えてることはわからない。
「い、和泉…くん?」
今起こってる状況に、全く頭が追いつかない。
ただ、私の目を隠しているのは和泉くんなわけで。
「ねぇ、和泉くんってば…っ」
呼んでみたりはしてみるものの、それに対する返事は全く返ってこない。
けどその代わり、別の言葉が耳元で聞こえてきて。
「……ドキドキしてんの?」
「ッ、」
「可愛いね、栞里」
「!?」
フッと笑う声が聞こえたかと思えば、すぐさま私の目にかかっていた手は外れて、視界が開けた。
後ろから抱き締められているようなその体勢から解放され、すかさずバッと後ろを振り向く。