和泉くんの考えてることはわからない。


***



「…あんたが、あの和泉センパイだったんですね」

「は?」



その日の放課後、いつものようにうるさい花宮さんを上手く巻いて校門を出た俺は、待ち伏せされていたそいつに声をかけられた。




「あぁ、誰かと思ったら花宮さんの従兄弟か」

「今朝はどーも」


そいつとは、もう言わずともわかるだろう、花宮さんにベタベタなあの年下従兄弟なわけで。



「随分花宮さんの前では猫被ってんのな、お前」

「そういうセンパイこそ、僕に敵対心剥き出しじゃないすか」

「は?」


花宮さんの前での態度とはえらい違いなそいつを、俺は無意識に睨んでいた。



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