和泉くんの考えてることはわからない。
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「…あんたが、あの和泉センパイだったんですね」
「は?」
その日の放課後、いつものようにうるさい花宮さんを上手く巻いて校門を出た俺は、待ち伏せされていたそいつに声をかけられた。
「あぁ、誰かと思ったら花宮さんの従兄弟か」
「今朝はどーも」
そいつとは、もう言わずともわかるだろう、花宮さんにベタベタなあの年下従兄弟なわけで。
「随分花宮さんの前では猫被ってんのな、お前」
「そういうセンパイこそ、僕に敵対心剥き出しじゃないすか」
「は?」
花宮さんの前での態度とはえらい違いなそいつを、俺は無意識に睨んでいた。