和泉くんの考えてることはわからない。
「どうしよう、早苗さん」
「うん、とりあえず栞里は前を向いた方がいいと思うよ」
「前?」
早苗に言われて、チラッと教卓の方に顔を向けた。
そこには、表情筋だけがニコニコ顔の津田先生が立っていて。
「………あ」
「花宮?もうチャイム鳴ってるんだけど?」
「あ、あははは…。すみませーん…」
ニッコリと先生に微笑まれて、私は大人しく体を教卓の方へと向き直すこととなった。
「はい、誰かさんがちゃんと前を向いたところでHRを始めまーす」
おかげで、クラス内からクスクスと笑い声が聞こえるはめに。