和泉くんの考えてることはわからない。



うー。先生のバカー。


恨みがましい目で先生を見たけど、再び笑顔が向けられたのでパッと目をそらした。





「んじゃ、席替えするぞー」



軽い連絡事項が終わると、そんな呑気な間延びした先生の声が教室内に響く。



気付けばもうカレンダーは5月中旬。


日直もとっくに回りきって、2年生になって初の席替えだ。




「和泉くんの近くになれますように、和泉くんの近くになれますように、和泉くんの……」

「栞里、あんた怖いよ」



端の席から順番にくじを引いてる間、私は早苗に引かれるほど必死にお祈りを捧げる。


< 59 / 326 >

この作品をシェア

pagetop