和泉くんの考えてることはわからない。
うー。先生のバカー。
恨みがましい目で先生を見たけど、再び笑顔が向けられたのでパッと目をそらした。
「んじゃ、席替えするぞー」
軽い連絡事項が終わると、そんな呑気な間延びした先生の声が教室内に響く。
気付けばもうカレンダーは5月中旬。
日直もとっくに回りきって、2年生になって初の席替えだ。
「和泉くんの近くになれますように、和泉くんの近くになれますように、和泉くんの……」
「栞里、あんた怖いよ」
端の席から順番にくじを引いてる間、私は早苗に引かれるほど必死にお祈りを捧げる。