和泉くんの考えてることはわからない。
背中越しで、見えないはずなのに。
和泉くんがカリカリとノートに書き写してる音とか、教科書をめくる音とか。
和泉くんから出る小さな物音や気配のひとつひとつが、私の集中力を見事に阻害させていた。
「……和泉くんのバカ」
「いきなり振り向いて悪口言うのやめてくれる?」
やっと1時間目が終わって、私はまず後ろを向く。
早速後ろを振り向かないって言う約束を破ったけど、そんなことはどうでもよかった。