和泉くんの考えてることはわからない。



集中なんて、できるわけがない。


折角午前中の授業を乗り切って、前田くんのおかげで慎くんのことも消化できたというのに。




私が午前中和泉くんのせいで集中できなかったことを知ってるはずなのに、和泉くんは本当に意地悪だ。




「次よそ見したら、またやるよ」

「っ……」



スッと、一瞬だけまたシャーペンの先が背中をなぞる。


それからすぐにそれが離れて、後ろでカランと和泉くんがペンを回す音が聞こえた。



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