短編集
【ねえ、篠原くんと何を話したの?】


とうとう、クラスでも話しかけてくるようになったの、

そう言いたいのを我慢して、「別に何も。」と短く答える。



【何もなかったら呼ばねーじゃん、こんなクソ女。】


でもそこまでだった。
廉が戻ってきたから。


しかも廉は自分の席じゃなくて私の席にまっすぐ歩いてきて。

そのまま何も言わず机の中を覗こうとした。



「だめっ……!」



ここには……



『やっぱりね。』



廉が私の机の中から引っ張り出したのは、水でベチャベチャにされた雑巾。

朝から知ってた。
だからわざと明るく振る舞ってた。


こんなところで泣きなくなかったけど、廉が気づいてしまってあの子達に何されるかわからない恐怖と、廉が気づいてくれた安心感とで、抑えていた涙が流れてきた。



『だーれ、こんなことしたの。』



クラス中に問いかける廉は、私の腕をしっかり掴んでる。



「れん、、いたい、」




『ちょっと見せてね。』

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