黒竜（仮）
「なー蓮香。お前のことを詮索しないって言ったけどさ、過去になんかあったんじゃねぇの？」
私はその言葉を聞いて内心びくりとした
「別に何もない。なんかあったとしてもあんたに関係ない。」
「ふーん。
ま、話したくないならいいけどさー俺に関係ないかどうかはお前が決めることじゃねぇと思うぞ。」
その言葉を聞いて、何となく懐かしくなった気がした。
「ねぇ、あんたさ、何で暴走族なんてやってんの？」
「俺は、前の総長に拾われたのがきっかけでこの族に入った。今でも続けてんのは守りたいもんがあるから。」
「守りたいもんって何？」
なぜそんな質問をしたかはわからないでも私には守りたいものなんてないから守りたいと言ったあいつに聞いてみたかったんだ。
「俺の守りたいもんは黒竜だ。ここには何かしら問題を抱えてる奴の方が多い。俺もそうだ。だからこそあいつらの居場所を守ってやりたいんだ。もちろんお前もな」
そういうとあいつはニカッと笑った。
私は綺麗事言ってるって感じた。
そんなことを思っていると家に着いた。
私は一人暮らしをしている。両親もいなくて親戚をたらい回しにされた挙げ句の果てに高校に上がったらこの家から出てってくれるなんて言われたら誰だって出て行きたくなるってもんだ。もちろん家賃や光熱費は払ってもらってるし、仕送りだってかなりの額がある。
両親が死んだのは私が小学生の時だった。その日両親は結婚記念日ということもあって小学生の私を1人家に残し出かけていた。その日は豪雨だった風もそれなりにあり、運転するのはかなり危険だった。それでも両親は出かけて行った。そして交通事故に遭い警察が駆けつけた時にはすでに死んでいたらしい。
それから私はずっと1人だったでもあいつらにあって居場所ができたと思ったのに裏切られたんだ。
だからもう人は信じない。
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